麦のおもらし

ドイツで細々と生きるズボラ主婦がもらす、インテリアや収納やなんやかんや

不可解な母の記憶

ふるさとは遠きにありて思ふもの…

 

ときどき、麦の母親の、不可解な行動を思い出すことがあります。

 

誰にでもあると思うのです。母上の不可解な記憶。

 

麦の記憶は…

 

〈常に強火〉

麦母の火加減は、強火一択です。

青い炎が、いつも鍋底の円周の2倍くらい広がっています。

なので、しばしば焦げます。

黒い粉々の浮かんだシャバシャバのカレーなんかが出来上がります。

そういえば、水の分量を測っている姿も思い出せません。

 

しかし、常に強火は、まだ理由があります。

麦母は、料理を素早く仕上げるということを最重要視しているのです。

 

計量カップを使う姿は思い出せませんが、

ホラ、あっという間やったやろ?

というドヤ顔は、ありありと思い出せます。

どんなもんだぃ、てやんでぃっ!!

が付くパターンも多かったです。

 

強火の習慣は、麦が極端に食の細い子どもであったことに強く影響していたと思われます。

 

〈UCC缶コーヒー事件〉

麦が中学生の頃。

近所の子がみんな行くから、という全く主体性のない理由で、麦も近所の子みんなが行く塾に放り込まれました。

主体性はないけれど心配性の麦母は、いらんと言っているのに、毎回帰りは迎えに来るのでした。

 

帰り道では、自動販売機で飲み物を買ってくれました。

その日もいつも通り、麦は手渡された小銭を古びた自動販売機にチャリンチャリンと入れ、どのボタンを押そうかと一瞬考えました。

 

古びた自動販売機ですから、入っている飲み物の種類が少ないのです。

少ないので、選ぶ時間も一瞬です。

 

その一瞬の隙に、麦母は

バン

と、自動販売機のボタンの辺りを手の平で叩きました。

今の何…?

と思うと同時に

ガコン

缶が出て来た音がしました。

 

恐る恐る取り出し口から缶を取り出しました。

UCC缶コーヒーでした。

 

古びた自動販売機の少ない選択肢の中でも、麦が最も選ばないものでした。

UCC  ミルクコーヒー 缶コーヒー 250ml×30本
 

懐かしい味

…何やったん、今のは…??

と麦が聞くと、麦母は

ちょっとビックリさせよかと思ったけど、ホンマに出てくるなんて、なぁ? アハハハ〜

と言いました。

 

ビックリした。

 

〈友だちんこ事件〉

麦が小学校中学年くらいになると、麦母はパートを始めました。

そしてパート代で、毎月何か、麦の好きな、ささやかな物を買ってくれるようになりました。

 

ある日、麦母はパートから、プレゼント用に包装された包みを持って帰って来ました。

 

◯◯ちゃんっ(麦)!ええモン買って来たで♡今月のプレゼント❤︎ハイどーぞ♡♡

 

アレ?私今月のリクエストまだ言ってないのになぁ…

 

と、麦が訝しみながら包み紙を開くと、

おぼっちゃまくん ともだちんこゲーム

が現れました。

 

?????

 

結構立派な、ゲームウォッチ的な電子ゲームです。

当時おぼっちゃまくんはとても流行っていましたし、ささやかな物ではない値段だったであろうと思われます。

 

おぼっちゃまくんが亀に乗り、柿野くんと沙麻代ちゃんにともだちんこをしてから、袋小路くんにぜっこうもんをする、という流れを永遠に繰り返すゲームでした。

 

現在の価格を調べてみたところ、箱と説明書付きで4320円と、これまた微妙に大したことないのでした。

 

皆さまには、どんな記憶がおありでしょうか。

麦の何気ない行動も、息子の目には不可解に映っているのかもしれません。