〈驚愕の日本語力低下〉海外移住した子どもの日本語対策をしないと、どうなる?
10歳…その国の言葉を、ネイティブとして身につけられる年齢の上限だと言われています。
息子は10歳でドイツに来ました。
2年経った今、確かに彼は、ネイティブとしてのドイツ語を身につけつつあります(もちろんまだまだです)。
日本語を読むのは、マンガと時々小説。
書くことは、滅多にありません。
かといって、ドイツ語を書くのも難しい。
かつて子どもであった夫は、5歳でアメリカへ渡りました。
そこで18歳まで育ってしまった夫の母国語はもちろん英語であり、完全にネイティブです。
日本語を書く時は、ほとんどぜんぶひらがなです。
ドイツに来てからは、仕事のときもほとんど英語で過ごしているようです。
ここ最近、上の2名の日本語力の低下が著しいのです。
〈子どもの語学に関する学習方針〜麦家の場合〉
麦家はドイツに移住して来ましたので、息子は現地校に通っています。
このパターンだと、日本人向けの補習校にも通わせるのが最善であり、そうされるご家庭が多いかと思います。
息子は補習校には行っていません。
まず、日々の学校生活でかなり疲れています。
おまけに、日々ドイツ語を学んでいる段階で、英語とラテン語もなさねばならぬ。
語学三重苦。
ピアノも教わっているので、近頃全然練習が足りなくて先生に顔向けできないとはいえ、毎日それなりに時間がかかります。
息子が分裂して増えない限り、補習校に通うのは今のところ無理です。
二兎を追う者は一兎をも得ずと言いますが、語学三重苦+日本語=4兎も追ったんじゃあ、迷子になって失踪するでしょう。
うちには、少し補習校に通ったことがある人がいます(夫)。それが、あれです。
というわけで、息子は補習校に行っていません(行けていません)。
これでは、方針というより、もぅそうするしかなかったということですね。
そのうち余裕が出来たらうんこ漢字ドリルでもやってもらおか、と今はのんびり構えています。
ついでに言うと、麦はネイティブになるかどうかには全く興味がありません。
例えば、中国語の訛りがあるドイツ語とか、フランス語の訛りがある英語とか…そういうのってとてもチャーミングだと感じるのです。
方言男子に惹かれるような感じでしょうか。
麦は、特に岡山地方の言葉の響きにクラッとくる傾向があります。
〈ねぇ、ろってどう書くの?〉
では、海外に移住して、日本語学習をおろそかにした場合どうなるのか。
実際に起こった例を見てみましょう。
息子が珍しく、日本語で何かを書いている時でした。
麦は、うへーーーひらがなばっかり🥶と思いながら見ていました。
すると、息子が麦の方を向いて
ねぇ、ろってどう書くの?
と言いました。
麦は質問の意味を確認するため、
ろって、何のろ?
と聞きました。
息子は
フツーのろ!
と答えました。
…まさか、路とか、せめてロとかでもなく、ろ??
ヤバイヨヤバイヨ、と思いながら
る、のクルッとしてない方…
と言うと、今度はるがピンと来てない感じ。
仕方がないので紙にろと書いてみせると、
あ〜ぁ❤︎💡
と納得した様子でしたが、これはヒドイ。
ゾッとしました。
日本では、毎年1学年上の漢検を受けていたはずなのに、このザマ。
怖い怖い。
〈めやて〉
大きい方の人(夫)もひどい。
今は息子の夏休み中なので、朝にその日1日のスケジュールと課題をノートに書いて(書かせて)います。
当然息子はそんなもん書きたくないし、書いたからといって、その通りに行動するわけありません。
というわけで、スケジュールと課題を書くときには、ある程度まで親が形を作って、息子に書き込ませます。
夫がその役割をつとめようとしたのですが
子どもの字じゃないよ、夫が書いたよ
めやて
漢字でどう書くんだろう。
(めやての下に書かれているのはタスクであり、「めあて」の意味するところではない)
日付の書き方、ENGLISHE。なんかもうわけがわかりません。
ENGLISHEはイングリッシュをドイツ語風に書いたようですが、違います。
ドイツに来る前の頃には、日本語だいぶ上手になっていたのですが、残念です。
〈カ行変格活用〜カ変〜〉
日本で生まれ育った麦は全く気づいていなかったのですが、日本語ネイティブ以外の人には、カ変はかなり手強いようです。
一応おさらいしておきますと、カ行変格活用(略してカ変)とは、来るという動詞の活用です。
コ コない(未然形)
キ キます(連用形)
クル。 クル(終止形)
クル クルとき(連体形)
クレ クレば (仮定形)
コイ。 コイ(命令形)
というやつです。
古典文法のコ・キ・ク・クル・クレ・コで覚えておられる方もいらっしゃるかと思います。
夫が言うと、
来ない(こない・未然形)、来る(くる・終止形と連体形)、来れば(くれば・仮定形)
がそれぞれ、
キない、キる、キれば
と全部キになります。
来ると言う言葉は日常よく使いますので、夫の来る(キる)を聞く機会はたくさんあります。
麦はその度に、カ変。と思います。
カ変ほどではありませんが、サ変もやはり手強いようで、
(〜を)する、が シる になるパターンもよく聞きます。
18時から宿題シるんじゃなかったん!?💢
とか、言うわけです。
夫ももう40歳ですので、麦は基本的には何も言いません。
ナルホド麦のカタコトのドイツ語も、そういうチョット変がいっぱいあるんだろうな〜、とぼんやり考えながら聞き流します。
息子は日本育ちでしたので、来るの活用(カ変)は自然に出来ていたのですが、この前ついに
ヨハンは来ない(キない)んだって!
と言ったので、全力で修正しておきました。
先ほど夫が窓の外を眺めながら、
なんかしっくり来ない天気やなぁ➿
と言いました(これはちゃんとコないと発音していた!)。
息子が何にしっくり来ないの?と聞いていましたが、きっと、スッキリしない天気だと言いたかったのでしょうね。
今はまだ息子の方が日本語に親しいようですが、先が思いやられます。