〈検閲〉子どもが読む本
〈美人局事変〉
ねぇねぇ、つつもたせってなに?
当時小学3年生くらいだった息子が、突然言いました。
麦は楽しい聞き間違いかと思いましたので、
え?w
なんて??もう一回言ってくれる???
と言いました。
息子は、麦に聞こえやすいように、もう一度、丁寧にはっきりと言ってくれました。
つつもたせって、なに?
さぁ大変です。
聞き間違えたわけではなさそうです。
…どういう漢字で、書いてあった?
びじんきょく、って書いてあったと思う。
これはもう、美人局で決まりのようです。
さて。どう答えようか。
とにかく、どういう状況で小3が美人局に疑問を持ったのかを探らなくてはいけません。
どこに、つつもたせが、出てきたの?
麦が息子に質問してみますと、
あのねー、左江内(冴えない)氏と同じ会社の茂手杉(モテすぎ)さんがねー、ラブホテルっていう所でねぇー
待て待て待てぃ❗️
それ以上は言ってくれるな‼️
どうやらこの本に美人局が出てきたようです。
ドラマ化もされたようですね
左江内っ💢おまえかっっ💢💢
左江内氏、どうしてくれる。
茂手杉、しっかりせぇよ。
いやいや。
こんなことにならないように、子どもが年齢に応じた本や漫画を読むように、麦はいつも軽い検閲を行なっておりました。
なんでこんなことになった!?
〈検閲を夫任せにしたことを悔いる〉
思い返してみました。
この本は、まんだらけで買ったものです。
☆念のために説明しますと、まんだらけというのは、中古の漫画やアニメ・ゲーム・特撮グッズ・同人誌に古本、果てはジャニーズグッズまで売っている、いろんなオタクの人にたまらないお店です☆
麦は時々まんだらけに漫画を調達しに通っておりました。
ブックオフより値段は高いですが、どのシリーズもほぼ全巻揃っているし、状態も良いので、最初からまんだらけに行った方が何かと早いのです。
いつの頃からか、やはり漫画大好きになった息子も、熱心に漫画を調達するようになりました(同人誌コーナーは刺激が強めなので足早に進む)。
物を増やさないようにしている麦家ですが、本や漫画はじゃんじゃん買って良いことになっています。
まんだらけでは麦は忙しいのです。
自分の漫画を選ばなくてはいけませんからね。
忙しいので、息子が選んだ漫画を買うか買わないかの検閲は、夫に一任しておりました。
忙しいですから、麦は。
しかし、これが痛恨の人選ミスでありました。
アメリカ育ちの夫、日本語を読むスピードが遅いのです。
分かるようでわからん漢字や言葉が沢山あるのです。
最初に覚えた四文字熟語は一石二鳥(大学生のとき)です。
そういう人が、日本語ばっかりの漫画を見るとどうなるかというと、当然めんどくさくなるわけです。
で、表紙や題名で判断し始めるのでしょうね。
結果、左江内氏は無事に検閲を通過し、この惨事を生み出したのでした。
〈祖父母という落とし穴〉
敵はあちこちに潜んでいる。
思いがけない所から、わぁっ!と出てくる。
じじばばです。
美人局事変の頃、麦家は例年のように、大阪の麦実家に帰省しました。
そもそもは麦母が、大の漫画好きなのです。
したがって、麦実家には大量の小説や漫画があります。
麦母の蔵書を読んで、小学生男子にして萩尾望都先生や山岸涼子先生のファンになった息子(麦母からすれば孫)。
じじばばの影響力、侮れない。
帰省中、じじばばに息子を預けて、麦夫妻は出かけておりました。
そこに、麦母からの電話。
息子ちゃんが熱出したから、急いで帰って来てー!
急いで帰ると、心底ゲッソリといった表情で布団に寝そべる息子。
枕元に、山積みの漫画本。
何の本かな、と見てみると、楳図かずお『神の左手悪魔の右手』全巻。
麦は抗議しました。
ちょっとばぁば💢
コレ楳図かずおの中で1番グロいヤツやんか💢💢
グロ過ぎるから、コレだけは息子に読まさへんようにしてたんやでっ💢💢💢
ゲンナリしている息子に、
…「錆びたハサミ」読んだ?
と聞いたら、
…うん。
と、ゲッソリした顔で答えたのでした。
『神の左手悪魔の右手』は、ひたすらグロい短編集であり、最初のエピソードである「錆びたハサミ」は超絶トラウマ級グロなのです。
ばぁば💢
「錆びたハサミ」はアカンやろ!?
なんでよりによってコレを読ませた!?💢💢
麦母が答えました。
◯◯ちゃん(息子)、寝てるだけやとヒマかなーと思って。
アレ?このシリーズどんな話やったっけ…(パラパラとめくる)
わぁ、病人向きじゃないなぁ!
錆びたハサミ…全体図は自粛
ホンマにやめてあげて。
元気でもキツいから。
そんなこんなを経て。
麦はもう《よっぽどでない限りはなんでも読んで社会を知ってください》という境地に辿り着いてしまったのでした。
↓↓↓そしてまた、新たな悲劇が生まれる…(過去記事)